日本骨代謝学会

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ANZBMS 2016 レポート
柴 祥子(埼玉医科大学ゲノム医学研究センター)

柴 祥子

この度は ANZBMS 2016 Travel Award を頂き、ありがとうございました。2016年8月21より8月24日まで、オーストラリアのゴールドコーストで開催されました The Australian and New Zealand Bone and Mineral Society (ANZBMS) に参加してまいりました。本会は、オーストラリアの内分泌学会と生殖学会を交えて3つの学会が合同で開催され盛大に行われました。ゴールドコーストは、白い砂浜と透き通った青い海が見渡す限り続いた海岸に面しており、野生のコアラも生息しているという緑豊かな内陸方面には多数の河が巡り、ボートが行き来した観光地でとても美しい町です。宿泊先のホテルやスカイタワービルの展望台からはそのビーチと内陸方面の山々を一望できました。

本会では、骨代謝のみならずエネルギー代謝、糖代謝、骨格筋との連関等の演題もあり、広い視野で学ぶことができました。また、シンポジウム、若手研究者のセッション、ポスターセッション、キャリアワークショップや招待演者の先生方の講演などが多数あり、特に、ポスター発表の中から選ばれた若手研究者の現在進行中の研究内容をお聞きして討議することにより、海外における同年代の研究者の研究内容や活躍と、着眼点、手法など、今後の研究に生かせる情報を得ることができました。さらに若手研究者も活発に発表・議論していたことがとても印象的で、大変刺激を受けました。ポスター発表は、Plenary Poster に選抜され、十分な時間が設けられ、討議やご意見を頂き大変参考になりました。私以外の日本の方も多く選ばれていました。議論の合間にはティータイムやランチも用意され、新鮮なシーフード、ビーフ、南国フルーツ、お寿司等も提供され、食も堪能しながら充実した時間を過ごすことができました。私は、がんにおける骨転移の制御、骨代謝とエネルギー代謝の連関に関する講演を中心に拝聴致しました。The Translational Research Institute (TRI) の Allison Pettit 先生によるがんの骨転移疾患モデルに関する講演では、転移のメカニズム解明と治療に向けた前立腺がん細胞の種々の移植モデルについて討議され、がん細胞と骨芽細胞との相互作用やマクロファージにおける炎症メカニズムの解明が骨転移の予防や治療のために重要であると紹介頂きました。また、シドニー大学の Markus J Seibel 先生は、ビタミンD受容体(VDR)が乳がん細胞の骨転移に関わることを紹介されており、非常に興味深く拝聴致しました。また、Garvan Institute of Medical ResearchのNicola J Lee先生による講演を拝聴し、骨代謝と糖尿病の新たな標的因子としてOsteoglycinが関与することを紹介されておりました。国外においても骨代謝と様々な代謝調節に着目し研究が遂行されていると大変興味深く感じました。このような非常に貴重な機会を与えて頂き、日本骨代謝学会の先生方、事務局の皆様に心より感謝申し上げます。今後の研究を進めて行く上でも広い視野を持って貢献していくことができるよう励んで行きたいと考えております。

紹介演題キーワード

骨転移、骨代謝、インスリン抵抗性

柴 祥子