日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

JP / EN
入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

骨ルポ

TOP > 骨ルポ > ASBMR 2016 > 松下 雅樹

ASBMR 2016 レポート
松下 雅樹(名古屋大学整形外科)

松下 雅樹
(左から)ミシガン大学の小野法明先生、ミズーリ大学の植木靖好先生、私。

ASBMR 2016は9月16日から19日まで、アトランタで開催されました。私の演題は「Clinical feasibility of oral administration of meclozine for the treatment of short stature in achondroplasia」というタイトルで日本骨代謝学会よりASBMR 2016 Travel Awardを受賞し参加させていただきましたことを報告させていただきます。

私の研究は、軟骨無形成症における根本的治療の開発研究ですが同様の研究をやっているグループはいくつかあります。

紹介演題 [1]
Meckel’s and condylar cartilages anomalies in achondroplasia result in defective development and growth of the mandible

キーワード

軟骨無形成症、FGFR3、内軟骨性骨化

研究グループ

Laurence Legeai-Mallet先生

  • フランス
サマリー&コメント

演者のLaurence Legeai-Mallet先生にお会いするのは今回で3回目になります。軟骨無形成症の原因遺伝子であるFGFR3を抑制する薬剤は研究レベルでいくつか開発されてきていますがこれまではモデルマウスにおける長管骨成長抑制をレスキューするという内容がほとんどでした。FGFR3インヒビターであるBGJ398をモデルマウスに0日齢より投与開始すると長管骨成長抑制だけでなく大後頭孔狭窄もレスキューできるということを2016年5月に発表され、3ヶ月前に別の会でお会いした時は大後頭孔のことしか言及されていませんでした。これまであまり知られていなかった軟骨無形成症における下顎骨の形態を詳細に提示された上、下顎の形態異常をFGFR3インヒビターであるBGJ398によりレスキューできたことを発表されました。本演題に限らず、軟骨無形成症における最近の研究は、長管骨以外の骨にも注目した研究が増えていることを感じております。

紹介演題 [2]
Progenitor for bone growth and repair

キーワード

軟骨無形成症、FGFR3、内軟骨性骨化

研究グループ

小野 法明先生

  • ミシガン大学
サマリー&コメント

ASBMRには「Meet-the-Professor」といい各種専門分野のトピックスを聞くことができるセッションがあります。今回のASBMRで唯一の日本人講師が小野先生でした。Inducible Creを用いたlineage tracing手法から主に内軟骨性骨化のメカニズムを研究されています。この手法を用いて、早期の間葉系前駆細胞におけるSox9、II型コラーゲン、アグリカン陽性細胞は各種軟骨細胞だけでなく、骨芽細胞、間質細胞,脂肪細胞の前駆細胞であることをすでに証明されています。今回の講演内容は主にlineage tracingの原理についてでしたが、参加者が非常に多いのが印象的でした。

他にも興味深い演題は数多く新しい知見も得られることができました。また、多くの先生方と情報交換をすることができ非常に有意義な時間を過ごすことができました。今後も骨軟骨研究を続けていき来年以降もASBMRに参加したいと思います。