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ASBMR 2018 レポート
田中 賢一郎(島根大学医学部 内科学講座 内科学第一)

田中 賢一郎
ケベックと言えばフランス料理。医局の先生と一緒にフランス料理を楽しみました。

紹介演題 [1]
若年1型糖尿病における海綿骨微細骨構造の変化

キーワード

1型糖尿病、HR-pQCT、骨質

研究グループ

Deborah Mitchell

  • Massachusetts General Hospital
サマリー&コメント

糖尿病は続発性骨粗鬆症の原因疾患と認知されており、糖尿病では骨密度から想定される以上の骨折リスクの上昇、すなわち骨質劣化が重要と考えられている。今回10-16歳の若年1型糖尿病患者を対象とした検討において、1型糖尿病では対照群との比較で、二重X線吸収法(DXA)による骨密度に差はなかったが、高解像度末梢骨用定量的CT(HR-pQCT)を用いた骨梁セグメンテーションに基づいた形態学的分析では骨梁体積率低値、骨梁幅低値、板状骨梁体積率低値、有限要素分析では破壊荷重低値を認めた。このことから、1型糖尿病の骨質劣化には海綿骨構造の脆弱化が関与する可能性がある。

紹介演題 [2]
①2型糖尿病男性では大腿骨近位部皮質骨の終末糖化産物含有量が増加する、②高齢男性における2型糖尿病とHR-pQCT指標の関係

キーワード

2型糖尿病、終末糖化産物、骨質

研究グループ

①Pablo Palomino

  • Cornell University

②Ann Schwartz PhD

  • University of California, San Francisco
サマリー&コメント

Palomino らの検討では、2型糖尿病男性の大腿骨近位部皮質骨の終末糖化産物含有量は、対照群より19%高値であった。終末糖化産物含有量はHbA1c値とは関連しなかったが、亀裂進展特性と負の関連を認めた。またSchwartz らのHR-pQCTを用いた検討では、2型糖尿病男性は対照群より脛骨骨幹部、脛骨遠位部、橈骨遠位部の全横断面積の低値、脛骨骨幹部、脛骨遠位部の皮質骨断面積の低値、脛骨遠位部の推定破壊荷重の低値を認めた。このことから、2型糖尿病の骨質劣化には皮質骨中の終末糖化産物や海綿骨・皮質骨構造の脆弱化が関与すると考えられる。