日本骨代謝学会

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ASBMR 2021 レポート
中山 美佳(東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻)

紹介演題 [1]
Runx2 Deficiency in Osteoblasts Promotes Myeloma Resistance to Bortezomib by Suppressing Immunity in Bone Marrow

キーワード

Runx2, Osteoblast, Myeloma

研究グループ

Chao Zhang, Timothy Trotter, Pramod gowda, Yun Lu, Amjad Javed, Yang Yang

サマリー&コメント

プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(BTZ)は、多発性骨髄腫(MM)の最も効果的な最前線の化学療法薬の1つである。リスクの高い患者の15〜20%は、薬剤反応なしか、抵抗性になる。著者らの先行研究ではMM細胞が未成熟骨芽細胞(OB)のRunx2を阻害することを示している。本研究では、骨芽細胞特異的にRunx2が発現抑制されるOB-Runx2-/-マウスおよびOB-Runx+/+(コントロール)を用いて、BTZ治療の結果に対するOB-Runx2欠損の影響を評価し、MMのBTZ耐性の新しいメカニズムが示された。 MM細胞によって誘発されるOB-Runx2欠損は、免疫抑制myeloid-derived suppressor cells (MDSC)のアップレギュレーションと骨髄内の細胞傷害性T細胞のダウンレギュレーションを通じて、MMのBTZ耐性を促進し、BTZによる治療はこれらの効果を悪化させる。本結果は、一定数存在する治療抵抗性患者への新規治療戦略として薬理学的戦略の道しるべとなる可能性があると考える。

紹介演題 [2]
A single-cell transcriptome atlas of mouse long bone fracture repair

キーワード

scRNA-seq, fracture, Periosteal mesenchymal cells

研究グループ

lutian yao, leilei Zhong, Jaimo Ahn, Joel Boerckel, Ling Qin

サマリー&コメント

骨膜間葉系細胞(MLC)は骨折の治癒に重要だが、それらの不均一性により骨折修復プロセスが明らかになっていない。著者らはは骨膜MLCの不均一性を分析するために、Col2 / Tdマウスの脛骨(0日目)の骨膜または骨折脛骨(5日目と10日目)のカルスを用いてscRNA-seq解析を実施した。疑似時間軌跡分析により、無傷の骨では膜内骨化メカニズムを示し、骨折後では軟骨内骨化メカニズムが示唆された。本研究から骨膜MLCの不均一性と骨折損傷に対するそれらの応答が分析され、カルス形成に重要な筋線維芽細胞の特徴を持つ新しい亜集団が識別された。骨修復メカニズム解明のscRNA-seq報告は増加しているものの、モデルの違いや着目細胞の違いによる多様な報告が散見される。将来的にこれらのデータが一元化され、統合データとして解析されることで骨修復の網羅的解明につながるのではないかと考えた。