日本骨代謝学会

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臨床系 2016年座談会
骨ミネラル代謝研究・臨床における国内外の動向

司会
田中 栄 先生(東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座整形外科学 教授)

座談会メンバー
大薗恵一 先生(大阪大学大学院医学系研究科小児科学 教授)
宗圓 聰 先生(近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科 教授)
福本誠二 先生(徳島大学藤井節郎記念医科学センター脂溶性ビタミン研究分野 特任教授)

今後の展望

田中骨代謝分野において、日本の研究が大きく貢献してきたことを改めて感じたわけですけれど、今後はどのようなことが期待されるか、若い先生方へのメッセージも含めてお一人ずつ、お願いします。

宗圓リウマチにせよ骨粗鬆症にせよ、私が携わり始めた昭和50年代には薬がなかったので、それこそ嫌々やらされていた印象があったのですが、当時と比較して、現在では両方ともに様々な薬が開発されているので、“治療できる疾患”になってきたという、大きな変化があります。リウマチ・膠原病に携わる若い先生が増えているようですので、骨粗鬆症にも目を向けていただける若い先生方が増えればと思います。
ビタミンD関連や、ビスフォスフォネートの開発、RANKLの発見、その後のスクレロスチンの発見があって、先ほどのPTHrpのabaloparatideも同様ですが、節目ごとにユニークで新しい発見があり、この分野の研究を引っ張ってきたという部分もあるかと思います。ぜひそういうことにチャレンジしていただきたいと思います。

田中先生・宗圓先生
田中先生・宗圓先生

大薗治療法が出てきて治療薬が開発されていくことで、その分野において勢いというものが出てくるのは確かだと思います。低ホスファターゼ症に対する酵素製剤であったり、おそらく今後出てくる軟骨無形成症に対するCNPアナログであったり、治療の見込みがあるとなれば、診断方法の研究などにも力が入っていくのではないでしょうか。治療ありきではなく、治療に持っていくためにどうすればよいのかも含めて考えることで、今後の基礎研究、診療の発展が期待されるのではないかと思います。
先ほど宗圓先生からお話が出ましたリウマチの分野がまさにそうで、TNFの受容体製剤が出て、それを使った臨床の治験から新たなことがわかってくるというサイクルもあります。そういった意味でも、臨床医と基礎研究者の連携が密であるというのはとても大切なことだと思います。

福本副甲状腺機能低下症、ホルモン分泌不全による疾患のなかでもホルモン補充療法ができない稀な病気で、米国では既にPTH(1-84)が使えるようになっています。日本ではなかなか開発される様子がないのですが、今後どうなるのかは興味深いところです。  もう少し基礎的なことで言えば、カルシウム代謝は、カルシウム感知受容体(calcium-sensing receptor)が同定されたことによって、それにかかわる病気も判明してきましたし、カルシミメティクスという薬も新たに出てきました。リンに関しては、われわれの体がどうやってリンを感知しているのかということが現状ではわからず、これが残されている大きな問題の1つです。このリン感知機構が明らかにされれば、また1つ次の段階へ行けるのではないかという気がしています。

大薗先生・福本先生
大薗先生・福本先生

田中ありがとうございます。本分野はこれまで日本での寄与も大きく、やはり内科、整形外科、歯科という臨床医と、基礎研究者が同じ土俵で議論を交わしてきたということが、大いに日本の独自性をつくっていると思われます。こういった下地をつくれていることが、今の時代において研究を続けていくなかでもやはり重要であると思います。
本日はありがとうございました。

先生方

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