日本骨代謝学会

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臨床系 2017年座談会
骨ミネラル代謝研究・臨床における国内外の動向

司会
田中良哉 先生(産業医科大学医学部第1内科学講座 教授)

座談会メンバー
伊東昌子 先生(長崎大学病院 副学長 / ダイバーシティ推進センター長)
遠藤直人 先生(新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座 整形外科学分野 教授)
杉本利嗣 先生(島根大学医学部内科学講座内科学第一 教授)

今後の展望や課題

田中原発性骨粗鬆症はある程度認知されてきたものの,続発性骨粗鬆症やミネラル代謝異常症はなかなか認知されにくいようです。遠藤先生,地域医療のなかで私たちはどのように取り組んでいけばいいでしょうか。

遠藤やはりチームといいますか,輪を作っていくことが大切だと思います。例えば大腿骨近位部骨折を起こすと,反対側の骨折を起こすリスクが高まります。大腿骨近位部骨折を起こした患者さんは骨粗鬆症治療をしていないことは意外に多く,骨折時から治療を勧めて,加療を始めるわけですが,大腿骨近位部骨折は急性期病院で手術をして10~14日程度で転院するか地域の病院,施設,家庭に行くことになり,急性期病院でいくら骨粗鬆症治療を始めても退院後にはわれわれの手を離れてしまいます。地域全体として患者さんをフォローできるようにして,急性期から次なるリハビリ施設,あるいは在宅医療に携わる方々が治療を継続していく,リエゾンサービスが必要になります。その際,顔が見えるメンバーであることが重要ですので,整形外科医や内科医だけでなく,かかりつけ医も含めて集まっていただいて,骨粗鬆症やミネラル代謝異常症に注意する必要があることをより広めていき,輪を作っていくべきだと思います。

田中最後に日本骨代謝学会として,あるいは骨代謝,骨ミネラル代謝に関与する者として,今後どのように取り組んでいけばよいか,お考えをお聞かせいただけますでしょうか。杉本先生,いかがでしょうか。

杉本基礎研究でRANKLやスクレロスチンが発見された後,わずか10年余りで創薬に繋がってきていることは他領域からも注目されています。さらに振り返れば,SERMやエルデカルシトールも,核内受容体のスーパーファミリーの分子生物学的な研究成果が創薬に繋がりました。基礎と臨床の領域の密接な連携が,基礎研究を踏まえた臨床応用へのスピーディな展開に一番重要であり,基礎系,臨床系が一堂に集まる本学会はその意義が特に高く,これが本学会のセールスポイントであると思っています。

田中遠藤先生,いかがでしょうか。

遠藤本学会はいろいろな領域の方々が集まっていますから,その特性を生かすことが大切だと思います。各領域が独自に行っている取り組みや研究がありますが,共同でやらなければならないこともあるでしょうから,本学会が一つの橋渡しになって提案をしていく,あるいはリーダーシップをとっていくべきではないでしょうか。

田中本分野では大量のiPS細胞を用いた再生医療は期待できますでしょうか。

遠藤骨や軟骨の領域でも再生医療に期待しています。本学会では,再生医療が進んでいる他の内臓器疾患の情報を集めやすいかもしれませんね。

田中伊東先生,本学会における女性参画の意味合いも含めて一言いただけますか。

伊東本学会は学術分野としもさまざまな価値観をもった方がそろっており,新たなイノベーションができるのではないかと思います。骨ミネラル代謝異常症に限ったわけではありませんが,女性研究者の新しい考えを入れていくと,研究のブレークスルーもあると思いますし,新しい発見もできるのではないかと考えています。

田中先生方,ありがとうございました。「骨ミネラル代謝研究・臨床における国内外の動向」をテーマに,さまざまな視点からご討議をいただきました。先生方のお話が,明日の診療,今後の展望へと繋がってゆけばと思います。
本日はありがとうございました。

先生方

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